un sourire d'ange
名前も歳も、何を聞いても答えてくれない。
泣くでもなく寂しそうでもなく、ただジッとあたしを見つめるだけ、それだけだった。
どうしようもなくて従業員に迷子だと声をかけるも、その子があたしにベッタリくっついたまま、離れようとしないから……。
誤解された。
ため息しか出てこない。
どうする?
どうすればいい?
視線を落として見たら、未だあたしのコートの裾をギュッと掴んでいた。