未定
貴方はとてもとても大人だった。
年齢的な意味合いだけではなく、話してくれることも、考えていることも、先を見つめるあの澄んだ眼差しも。
全てが、私にとって大きな人だった。
まだまだこどもだった私に、
「君が好きだ」
須田さんはこう言ってくれた。
幸せだった、とても。
でも、辛いと思う気持ちもいっぱいだった。
いくら私が背伸びをしても、貴方には届かないというのに、
「ごめん。こどもでごめん」
始まりを告げてくれた貴方の声は、いつしか終わりを告げる声に変わっていた。
あの時の須田さんの顔が、声が、握り拳が、今も忘れられない。
こどもなのは私の方なのに、貴方は大人だから、最後まで私の気持ちを考えてくれた。