fragile
>ありがとう^∀^かわいいじゃん
>かわいくないよ…っ
(ばか…ばかばかばかっ
お世辞に決まってんじゃん
なのに…なのに…
確実に私の胸は鼓動を速くした。顔を赤らめた。
私の頭には、もはや俊也のことなどなかった。
ただ思ったことは、今日、いや30分前に出会った彼だけだった。
-
暖かな日差しが私の瞼をくすぐる。
「…ん……」
ゆっくり目を開くと、なぜか視界がはっきりしている。
「あれ…なんで眼鏡かけて………あ…」
何があったっけと考えようとした瞬間に、先程の記憶が頭を打つ。
「たかし…!」
慌てて携帯を手に取ったが、最新メールの記録は6時すぎ。今は7時すぎ。いつの間にか寝てしまっていたのだ。しかも眼鏡のまま。
「やばー…寝坊…!!」
-
ざわめきが収まらない廊下。一人一人の声が響いている。
今日は一時間目から体育測定。春はこれだから嬉しい。朝から授業がつぶれるなんて、寝不足の私にとっては好都合だ。
私は、順番を待っている今も、たかしとメールを続けていた。
>どこ住みなの?
>北海道∩^ω^∩歩は?
>北海道かあ!遠いなあ…宮城だよ!
>宮城かぁ!
>うん♪たかしはどんな学校に通ってるの?
>うーん。私立だよ!いいところ☆
>そうなんだあ
そんな有り触れたやりとりだったが、相手のことを少しずつ知っていくことに喜びを覚えた。
ちょんちょんと肩を突かれる。振り向くと、入学初日に友達になった里沙が話し掛けて来る。
「誰とメールしてるの?あ、彼氏〜?」
「まさかあ。昨日喧嘩したからさあ」
「じゃあ友達?」
「友達…というか…今日知り合った人」
「この学校なの?」
「いや、北海道らしい。しかも二つ上」
「まじで!?どうやったら知り合えるのー!?」
里沙は何にでも興味津々で聞くタイプらしく、物凄く不思議なことを聞いたような顔をした。
私が詳しく説明すると、納得したように頷きながら笑った。
「なるほどね。あ…でも彼氏さんはいいの…?」
「知らないよ、あんなやつ」