私の彼氏はヴァンパイア
「それでね、あたし考えたの。
さっきも言ってたけど、あたしが死んだから生きる意味ないって言ってたじゃん。
だから、生きる意味をあげる」
「…どういうこと?」
「楓はね、もう現実上は死んでいるのよ。
あたしが跳ね返したおかげで今ここに楓が存在するわけ。
まぁ現実的にはあり得ない力が働いて、楓は助かったわけじゃん」
「…まぁね」
「だから、別に楓はいつ死んでもいいと考えてるわけでしょ?」
「美里がそっちでも待っててくれていれば、ね」
不貞腐れたように言うと、美里はまたクスクスと笑った。
「待ってるよ、ずっと…ね。
あたしは待ってるから、楓の生きる意味の種を蒔いたの」
「…“生きる意味の種”?」
「うん。
でもね、あくまで種よ。
その種を見つけて、自分の生きる意味にできるかは楓次第」
「…どんな種?」
「………楓って、昔から身を焦がすような恋に憧れてたでしょ。
だから、本当に身も焦げる恋の種を蒔いたの」
「………あたし、男嫌いなんだけど」
「まぁまぁ。
男嫌い…とか、そんなレベルの壁じゃないわよ。
あたしはその恋の末に朽ちてほしいと思ったから」