私の彼氏はヴァンパイア
「…って、王子先輩!?」
「当たり」
微笑んだその顔は、確かに王子先輩だった。
この人の名前は王子薫風(オウジカオル)先輩。
あたしの通う桜庭学園高等部3年。
現役生徒会長で眉目秀麗、成績優秀、スポーツ万能、品行方正…ときたら、学園の女子が放っておくはずもなく。
毎日校門前で出待ちしていたり歩くところ歩くところに女子が集って、学園側としても大変だそうで…
まぁあたしはそんな興味はない。
きっとこの人も他の男と同じ。
…でも、なんで助けてくれたんだろう。
「あ…っ、すみません!
あたしのせいで先輩もびしょ濡れ………」
あんな勢いよく飛び込んだからびしょ濡れだ。
…申し訳ないなぁ………
「ううん。
大丈夫だよ。
それより、日向さんもびしょ濡れだけど…」
「あ…、そうですね…」
あたしの制服を見てもびしょ濡れ。
暖かくなってきたとはいえ、まだ春。
やっぱりかなり寒かった。
「…ゔぅ゙………。寒っ!」
「あははっ!
…でも確かに寒い………」
そう言って、身震いした。
…不意に見上げると目が合った。