先生の横顔
放課後の教室
「ねぇ。先生はどう思う?」
私は紗織に借りた2冊のケータイ小説を、先生の前に突き出した。
「どうって?」
ピンクにハートがちりばめられた表紙の本をチラリと見、
先生は小テストの採点を再開した。
「みんな読んでるでしょ、ケータイ小説。紗織が読めって渡してきたの」
「それがどうしたんだよ」
先生は私の話なんか興味無さそうに、
四字熟語の並んだ小さな紙切れにマルをつけていく。
「国語の先生としては、横文字の本ってどう思う?」
「日本の将来が心配だな」
あっさりとそう言った先生は、尚も赤ペンを走らせていく。
「私ね、読んでみたの。この本」
「で?どうだったわけ?」
先生はサラサラとマル付けをしながら、私に尋ねてきた。
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