屋根裏の街
大人目線でしか見えないもの、子どもにしか感じられない気持ち。分かってくれようとする大人はいる。だけど、こっちから壁を作ってしまう。そういう時大人は可哀相だと思う。そして、私たちの想いだって全然伝わってないんだよね、きっと。
「るっせー、クソババァ」なんて、今日も山口は反抗的だった。中年の担任は涙目になっていつもと同じセリフを繰り返している。
「あなたのために…」
「何が私のためやねん、ほっとけや」
制服のリボンの付け方がどうとかで毎日注意されてはキレて暴れる。学習してないな山口…。っていうか、言い返せない担任もバカだよね。家に帰れば私たちと同じくらいの子どもがいて、関西のおばちゃんパワー全開で「いてこますぞ」とか言ってんだろうに、ケバい山口にビビってんだ。あぁ休み時間が来れば山口の怒りの矛先は私に向けられる。あぁ、やだな!
素直に育ったのは単にバカだからなんだろうか。これだけいじめられて超が付くほどマイナス思考になっているくせに、ちゃっかり人を好きになっていた。もちろん梶田ではない。梶田は川上瑠奈に夢中だし、きっと他に目を向けられるほど精神も安定していない。分厚い宗教雑誌の隙間から川上瑠奈に熱い視線を送る梶田の想いは、人事ながらもはや病的だった。もしかしたら私もそんなふうに梶田から引かれているのかもしれないが…。
天井を見上げながら呟いた。
「松宮くん…」
松宮が言うまでもなくイケメンで、私にとってはアイドルのような、雲の上の存在だということはもうとっくの昔に知っていた。ただ、私のようにここまで不細工で不幸な人生を歩んでいると、これ以上失うものがないから開き直れる。
「るっせー、クソババァ」なんて、今日も山口は反抗的だった。中年の担任は涙目になっていつもと同じセリフを繰り返している。
「あなたのために…」
「何が私のためやねん、ほっとけや」
制服のリボンの付け方がどうとかで毎日注意されてはキレて暴れる。学習してないな山口…。っていうか、言い返せない担任もバカだよね。家に帰れば私たちと同じくらいの子どもがいて、関西のおばちゃんパワー全開で「いてこますぞ」とか言ってんだろうに、ケバい山口にビビってんだ。あぁ休み時間が来れば山口の怒りの矛先は私に向けられる。あぁ、やだな!
素直に育ったのは単にバカだからなんだろうか。これだけいじめられて超が付くほどマイナス思考になっているくせに、ちゃっかり人を好きになっていた。もちろん梶田ではない。梶田は川上瑠奈に夢中だし、きっと他に目を向けられるほど精神も安定していない。分厚い宗教雑誌の隙間から川上瑠奈に熱い視線を送る梶田の想いは、人事ながらもはや病的だった。もしかしたら私もそんなふうに梶田から引かれているのかもしれないが…。
天井を見上げながら呟いた。
「松宮くん…」
松宮が言うまでもなくイケメンで、私にとってはアイドルのような、雲の上の存在だということはもうとっくの昔に知っていた。ただ、私のようにここまで不細工で不幸な人生を歩んでいると、これ以上失うものがないから開き直れる。