~Snow White~『一巻』
「何泣いてんの?」

後ろから声がした。


私は驚いて後ろを振り返ると
コートを着た男の子が
立っていた。


「ずいぶんおっきい声で泣くんだ。
元気だね~」


「元気?
元気じゃないもん。」

男の子は笑った。


「元気じゃないんだ?
なんかおっきい声だからさ」


「パパとママが買ってくれた
ランドセルがなくなったの。
大事なものなの。
雪湖はもうそれしか持ってないの。
パパとママの思い出・・・」


雪が強くなってきた。
ランドセルに一緒に入れていた
手袋が恋しくなった。
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