~Snow White~『一巻』
「もう9時だね。
もう帰らないといけないかい?」


どうせ帰ったって
あの中には入ってはいけないから


「いえ、少し遅れても大丈夫です。」


「送るから安心して。」


「いいです、地下鉄に乗ったら
すぐですから。一人で帰れます。」


「タクシーチケットあるから
送るよ。未成年だからね。
はたから見たら
父娘にみえるだろうし・・・
もう少しつきあってもらおうかな。」


不思議と警戒心がなかった。



「私は、東京にすんでいるんだが
こっちに来た時
また会ってくれないかな。」
佐藤が言った。



「はい、喜んで。」
元気よく答えた。

私は佐藤に父を見ていた・・・・
佐藤は私に何を見ているのか
その時はわからなかった・・・・
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