~Snow White~『一巻』
「佐藤さん・・・」



「うーーん
できれば佐藤さんじゃなくて
稔さんって呼んでほしいな。
ウザいかな?
おじさんのくせして。」


「いいえ、稔さんっておちゃめですね。」


 
「おちゃめ?
そりゃいいほめ言葉だ。
なんか若返ったような気がするな。」


稔さんはそう言って笑った。



「アドレス教えてくれるかな。」


稔さんは携帯を出した。


「私、携帯持ってなくて…」


「え?今どきの子なら不便だね。」


「いいえ、どうせ往復だけです。」


「そうか・・・
でも私から連絡できないんだね。」


「また三原さんにおっしゃってください。」


「うーーーーん・・・
それしかないね。
今日は楽しかったよ、ありがとう。」

稔は手を差し出した。






                                                                    
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