~Snow White~『一巻』
「雪湖の施設に竜さんと行った時
泣きながら歩いてる
雪湖と話をした。
可哀そうで……なぜか愛しくて
次にまた会えるのを知っていて
雪湖がときめくような約束をした。
行き違いの雪湖を
心配していた…姉さんから家族の状況を
聞くふりをしては
雪湖のこと聞きだした………」



伯父が目頭を押さえた。



「かわいそうで
俺がそっちに戻ったら
きっと守ってやろうと誓っていた。
中学の入学式……
俺が隣の部屋にいることを知らずに
挨拶の練習をしてた。
真冬についていった車を見送る
雪湖の後をついて
入学式に出席した。
新入生代表の挨拶を家族の応援の
まなざしも受けぬまま
しっかり勤め上げて
俺はたくさん拍手してやった……」


知らないことばかりだった。
私には・・・・
ずっと孤独だと思って生きてきた
あの頃から
智久がいたんだって
感動していた。

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