~Snow White~『一巻』
意識を失いかけても
智久の名を呼び続けている。


「トモくん…トモくん…」

真っ赤にしたたった血のが
流れ落ちる。



私は一人取り残された


血の跡を見つめた。


おびただしい出血だった。


智久は憔悴しきっていた


どういう形でも智久をしばりつけたい
真冬の
叫びが私に突き刺さる。


「トモくんは渡さない。」


そう言ってるようだった。
< 294 / 323 >

この作品をシェア

pagetop