~Snow White~『一巻』
携帯が鳴った。


「え?あ・・・わかったよ。
うん、はい・・・」
美春が慌てた。


「雪湖、荷物と一緒に
隠れていて。」


そう言って玄関から靴を持ってきた。



「千秋が来るの、静かにしていて。」
そう言ってドアを閉めて


「え・・・っと・・・」
私の形跡を消そうと必死だった。


ちょっとしてから
インターフォンが鳴って
千秋の声が聞こえた。



「美春ちゃん・・・・」

そう言って千秋は
泣きだした。


「どうした?千秋・・・・」


いつも勝気な千秋の嗚咽が響いた。
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