~Snow White~『一巻』
そこには事情があって
親と暮らせない子どもたちが
何人かいた。

少し大きな子から赤ちゃんまで
みんなどこか
暗い目をしていた……


何度も脱走して家に戻ろうとした。

でもここがどこなのか
家がどこだったのか
私にはわからなかった。


迷子になって
いつものように警察官と一緒に
園に送られた。


「雪湖ちゃんは懲りないね~」
顔見知りの警察官は笑った。


「家に帰りたいの。
庭のバラが咲いてるのか知りたいの。
ママが大事にしてたから!」

警察官は私の頭を
優しく撫ぜて、園に帰した。
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