~Snow White~『一巻』
「これはトモくんの誕生日に
姉妹でお金を出し合って買ってあげたの。
なのにトモくん
しばらくしてなくしたんだ。」


「そうよね?
トモくん・・・・・!!」
千秋の質問は矢のように飛んでくる。


「手袋なんて、同じものあるじゃん・・・・」
智久は
乳液の瓶を床にたたきつけて
割った。


そして真冬から
手袋を奪い取って暖炉に放り込んだ。


「きゃ~~」
私は慌てて暖炉に近寄ったが
手袋はもう炎につつまれている。


「千秋、おまえさ
検察官にでもなったら?」

智久は部屋から出て行ってしまった。


「トモ!!」
真冬と伯母が追いかけたけど
智久は家を出てしまった。

「トモく~~ん」
真冬は外に追いかけに行った。


「あんたのせいよ!!」
千秋の泣き声が私に突き刺さる。

粉々になった瓶の欠片・・・・
炎に消えた大事な宝物

涙がポロポロ落ちた。
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