だって、愛してる
月面
「そういえばちっちゃい頃の
将来の夢は宇宙飛行士やった」、と
彼がクリームパンを食べながら
なんとなしに呟いた。
なんだか彼っぽいと思った。
03...月面
夕暮れに染まる空は遠くの方が
既に少し青紫に色を変えていた。
ほんの僅か赤と青の重なるグラデーションの部分は目を奪われるものがある。
もうすぐ、星が出る。
「アンパン一口ちょーだい」
「ん」
「クリームパンやろうか」
「クリームはいい」
差し出したアンパンにかぶりつく彼は
ちっちゃい子みたいで、今でも宇宙飛行士を夢見てても特に違和感はないと思った。