だって、愛してる
星の絶景スポット、
楽しみにしてたんですけど。
と、どこか嫌みっぽく言えば
「ご、ごめん」なんて謝られた。
彼は悪くないのにな。
口数の少なくなった彼に、
受話器越しでも本気で凹んでる姿が
悠に想像できて。
仕方無しにあたしは話を誤魔化すように
七夕に因んだ昔話を彼に始めた。
「七夕言うたら、織姫と彦星ね」
『あぁ、天の川の』
「機織りの織姫と、牛追いの彦星。
二人は立派な働き者で、天帝も
それに感心して二人の結婚を認めた。
二人は晴れて夫婦になりました」
『ふーん』
「せやけど二人は結婚生活が
たのしゅうてたのしゅうて、
仕事をせんくなってしまってん。
それに怒った天帝は二人を天の川を隔てて引き離した」