だって、愛してる





「せやから七夕に降る雨は、
 逢えへん2人が悲しみ流す涙と喩えられ
 催涙雨・っていうんよ」


1年、待って待って待って、
ずっとずっと待ち続けて、
それが目の前で叶わんものとなったとき。



2人が流す涙は、どれだけのものか。
きっとこの雨よりも遥かに、
比べものにならへん程の。





『…泣いてんねんな』
「そうね」


耳障りだと感じていた雨音が、
悲痛なものに変わった。

今夜は雨は、きっと止まない。
星も見れない。
天の川も。
寄り添い合う、2人も。



『なあ、』
「…うん?」



電話越しで
彼が大きく息を吸う。



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