だって、愛してる
「2組、2時間ぶっ通しで
体育やなんて可哀想やなぁ。
こない暑いのに」
言いながら友達が窓から
少し身を乗り出す。
…次の時間も体育なんや。
あぁ、英語も集中できる自信がない。
「せやけどこの距離やと
殆どまともに顔見えへんね」
「そう?視力落ちたんちゃう?」
「よぉ言うわ。
自分かて彼氏以外まともに
顔見えてへんくせに」
「……うっさい」
「彼氏相手なら三千里離れとっても
見えるんちゃうん?」
「母を訪ねてやん、それ」
次の時間も結局、外ばっか見て、
やっぱり英語教師に当てられて、
友達にからかわれて。
それでも飽きもせず、あたしの目は
その人ばかり追っていて。
さすがに真っ昼間の太陽は暑いのか、
ジャージの袖を捲りながら
リストバンドで汗を拭う姿が何度か窺えた。