リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・1
「なあなあ。進路、どうするか決めた?」

そう言って包丁を使っているのに、後ろから抱き着いてくる。

「当たり前でしょう? 今がどんな時期か、鈍いアンタでも分かるでしょう?」

「えっ、オレって鈍い?」

「ワリと天然な方向に」

淡々と語りながらも、料理をする手は止まらない。

「ん~。お前、どうするんだ?」

「…料理専門学校に進もうかと思ってる。そしていずれは有名レストランで働こうかと」

「お前らしいな」

後ろで微笑むのが、気配で笑った。

そして頬に唇の感触…。

アタシはゆっくりと振り返る。

彼の優しい笑顔が、間近にあった。

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