サンデー。
着替え終えた姫子は、あわただしく階段を降りると、キッチンのテーブルの上に用意された弁当箱をカバンの中に入れる。


テーブルでは寝ぼけた顔の広幸が、ご飯を口に押し込んでいる。


「広幸、おはよう!」

姫子が声をかけるが、広幸は

「おぉ。」

と小さく言っただけだ。


「まったく。愛想ないねぇ、あんたは・・・て言うか、あんた最近学校行くの、遅くない?」

「野球部の朝練終わったから。」

広幸の代わりに母が姫子に答えた。


「あ、そうなんだぁ。まあ、頑張れよ、受験生くん!」

姫子はそう言いながら、広幸の肩をポンッポンッと二度叩いた。


「何よ、姫子!えらそうに・・・。」


食器を洗っていた早苗が、振り向いて言った。


「あはは。冗談だって。じゃ、いってきまーす!」

姫子はそう言って、玄関へと向かった。


「姫、スカート短かすぎるんじゃない?」


背中に聞こえる母の声に


「大丈夫、大丈夫!」


と軽く答え、跳びはねるように外へ出ていった。




< 18 / 35 >

この作品をシェア

pagetop