サンデー。
父は近頃なんだか元気がないと姫子は思う。

以前はもっと明るく、父のほうから積極的に姫子に話しかけてきた。
確かに説教じみた話も多かったが、姫子はそれほど嫌ではなかった。

姫子がバイトを始めて、あまり話す時間がなくなったことも影響しているが、朝はひたすら新聞を読み、いつの間にか家を出ていく。
夜も夕食の後少しお酒を飲んで、すぐに自分の部屋へ行ってしまう。

だから最近はほとんど話す機会がない。


お父さん、なんか変じゃない、と母に聞いたことがあったが、
「お父さんも歳だからねぇ。」

と返され、話は終わった。


リビングの父専用のリクライニングチェアは、ほとんど空席になっており、たまに広幸が偉そうに座ってテレビを観てたりする。


少し前なら、たとえ父が不在でも、父の専用席に他の家族が座ることは許されなかった。

しかし、今は家族の誰も、広幸を注意することはない。


そのことに姫子は、微妙な違和感とほんの少しの苛立ちを感じることがあった。




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