サンクトペテルブルクの夜明けーーリスカ男の願い
「キリハラ、寝ちまったのか」

「日本人は酒に弱いっていうからな」

悟の周りを囲む学生たちに気づいて

茂木は声をかけた。

「疲れてたのかもしれない、

部屋に連れて行ってあげなさい」

「わかりました、寮長」

学生たちは悟を部屋のベッドに横たわらせ、

静かに戸を閉めた。

部屋の鍵をかけ、寮長のもとへ戻る。

「キリハラの部屋の鍵、

事務室で預かってください」

「わかった、ありがとう」
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