サンクトペテルブルクの夜明けーーリスカ男の願い
「失礼します」

日本語で返しても通じる相手だ。

「久しぶりね、悟」

母は立ち上がり、手を差し出した。

堅い握手を交わす。

「まあ、座りなさい」

そこには豪勢な応接セットが

用意されていた。

歴史ある建物のようだから、

その雰囲気を壊さないように考えて

家具を揃えているのだろう。
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