サンクトペテルブルクの夜明けーーリスカ男の願い
「環境を変えたかった。

ただ、それだけです」

「まあいいわ。

あなたはロシア語ができるものね。

困ることはさほどないでしょう」

母は席を立った。話は終わったようだ。

「では、失礼します」

いつもこんな具合で、

母は聞きたいことだけ聞いて、

終わると仕事に戻ってしまう。

悪いと言うつもりはないのだが、

面白くないのは確かだ。
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