─不良が愛した女の子─
「おら、大樹。
莢架ちゃん痛がってる」
そう言ったのは臣吾さん。
やっぱりどこか大樹と似てる。
「莢架ちゃん、痛かったな。
大丈夫、傷は残らない」
「臣吾さん…。
ありがとうございます」
「お礼なんていいよ」
臣吾さんはそう言って
あたしの傷に触れた。
ビクッとなったくど痛みはなくて
見てみると包帯やガーゼで
手当てされていた。
それよりも臣吾さんの手は温かくて
あたしのお父さんも
こんなに温かい人だった。
もう何年経ったの??
お父さん、あたし…
もう無理だよ──…
前みたいに笑えないよ。
お母さんを支えられないよ。
なんで
なんで
死んじゃったの──…?