─不良が愛した女の子─
しばらくすると
臣吾さんは離れて
「大丈夫。
泣くとお父さんが心配するぞ」
あたしの過去を
瑠威から聞いたのかもしれない。
臣吾さんは笑って診察室を後にした。
するとすぐに瑠威が入ってきて
診察台に座ってるあたしに合わせて
前にしゃがみ目線を合わせてくれた。
「莢架」
そう切ない声であたしを呼んだ。
泣いちゃダメ。
さっき泣いたもん。
「瑠威、助けに来てくれて
本当にありがとう。
あたし、あのままじゃ
諦めてたかもしれない」
そう言ってニコッと微笑んだ。
すると瑠威もふっ…と
笑みをこぼした。
あたしが笑うと瑠威も笑う。
それが嬉しかった。