─不良が愛した女の子─
「亜朱佳…泣いた…?」
あたしの問いかけに亜朱佳は
ハッとしたように微笑むと
「昨日の夜DVD見てたら
夜更かししちゃって!!
それがまた感動するのっ。
思わず泣いちゃったあ〜」
「あっ、そうなんだ!!
いいなあ、あたしも見てみたい」
「今度見よ!」
「うん!!」
この時あたしは亜朱佳が言うことを
単純に信じていた。
亜朱佳は蓮に気づいたのか
蓮を見ると小さく頭を下げた。
「じゃあ俺行くな?」
蓮はそう言いながら
あたしの頭をポンポンとすると
教室を出ていった。