─不良が愛した女の子─
居間に戻ると親父は
「莢架ちゃんは?」
と言った。
「寝ちまった。
しばらく寝かせておいてくれ」
「…ああ。
瑠威…変わったな」
「あ?なんだよ、いきなり」
「誰かを守ろうなんて
前はしなかっただろ」
たしかに。
前までの俺は
誰かを守ろうなんてしなかった。
でも莢架を見たときほっとけなかった。
「一目惚れってやつか?」
「はっ、うぜえよ」
からかう親父から俺は顔を逸らした。