─不良が愛した女の子─
「…ほら、帰るぞ」
そう言って瑠威は
泣いているあたしを立たせてくれた。
泣いているあたしに
引っ張る瑠威。
まわりの人は不思議そうに見ている。
「…っ、瑠威…っ
あ、ありが…とう」
それを聞くと瑠威は
掴んでいた腕から手を離し
あたしの手を握った。
「ごめん…っ。
ごめんね、瑠威…」
あたしは謝ることしかできなくて…
「謝るな」
どこまでも優しい瑠威。
「んっ…ふ…ぇ…。
ごめ…ん、笑えない…っ」
瑠威を安心させたくて
少しでも喜ぶ顔が見たくて
頑張って
頑張って
笑おうとしたけど
今のままじゃ笑えないよ。
ごめんね、瑠威。