さくらんぼ

「それはっ、ただぼーっとしてただけだよ?」

じ――っ

伶矢が、私を疑うような目でみてくる。


「ほっほんとのこと言ってるからねっ!!」

「なんか理由あったんじゃないの?」

「とくに無いって!」


ほんとはあるけどね…


伶矢の好きな人にショックなんて言る訳ないよぉ…


「まぢでない?」

「うっうん?!」

焦りすぎて声、裏返っちゃった!!

恥ずかしい


「ふーん。じゃあ俺、告ってない?」


あ!伶矢ぜったい疑ってる…


それに

“告ってない?”


って……どうしよ返事…

正直に

“うん”

って言うか、

“なんで?”

って聞くか…



いまの私、悪あがきしてる。


1%――

有るか無いかの可能性を信じようとしてる…



自分の立場、認めよう。

悪あがきは無駄だよね?


私は

“うん”を選んだ。
< 39 / 62 >

この作品をシェア

pagetop