私しか知らない秘密のあなた

由らしき人は、私を見て見ぬふりをして私の横を通り過ぎようとした。


「ま、待って!!」



思わず言ってしまった。



由らしき人は、ビクッと体を震わせ、ゆっくりとこっちを振り向く。



「勘違いしてたらすいません。あなた、藤宮由さんですか?」



彼と私の間に沈黙が続く…。



そしてやっと彼が口を開く。



「いいえ。違います。」



彼は、そう言って私に背を向けまた歩き出した。



でも、私は続ける。



「あなた、藤宮由さんですよね。」



背を向ける彼に問いかける。



何故なら、
彼は絶対に藤宮由だったから…。








< 27 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop