私しか知らない秘密のあなた
「すいませんでした。」
泣き止んで、すぐに由に謝った。
「いいえ。大丈夫です。」
由は疲れ切った様子で私に言った。
「それより、その子猫…。あなたが拾ってくれてたんですね。」
その言葉に私は耳を疑った。
「まさか、由がこの子猫を捨てたの?」
信じたくないけれど、私は由に尋ねた。
「違いますよ!!僕はそんな事しません。」
「じゃあ、どうして?」
「僕、この子猫見つけたんですよ。この前の雨の日に。」
…。
この前の雨の日って…。
私が子猫を見つけた日だ!
「でも、そのまま連れて帰れないし、とりあえず子猫に傘を掛けて、家に帰ったんです。」
あっ!!
そう言えば、段ボールの上に傘が掛かってた。あれは由の傘だったんだ。
「家に帰って、また猫の所に行ったんです。でも、その時には子猫は、もう居なかったんです。」
「じゃあ、その間に私が拾ったんだ…。」
「でも、拾ってくれたのがあなたで良かったです。ありがとう。」
由は、ニッコリ微笑んで、私に言った。