私しか知らない秘密のあなた
「まぁ。もういいけど…。今度から私の事『紗希』って呼んで良いからね。」
「そんな…。僕みたいな人に呼び捨てされたら嫌でしょ。」
「私だって呼び捨てしてんだから、あんたも呼び捨て!!分かった由。」
「分かりました。…でも慣れるまで『さん付け』でお願いします。」
「うーん。分かった。でも慣れるまでだからね。」
「はい♪」
キュンッ!
何その笑顔…。
こいつ可愛い過ぎる!!
「どうしました?顔赤いですけど…。」
由がそう言って私に近寄ってきた。
心臓が波打つように速くなった。
「だ、大丈夫だからって。ちょっと待ってて。」
私は少し由から離れた。
心臓を落ち着かせるために…。
「紗希さん。そろそろ帰りましょう。」
「うん。分かった。今行く。」
どうしてあの時、私の心臓が速くなったか…。
この時の私は全然知らなかった。