私しか知らない秘密のあなた

「まさか、由がこの猫を捨てたの?」



僕は否定した。



まさか、あり得ない。
むしろ、家に連れて帰ろうとしたよ。



でも、居なくなってて…。


あの時拾ってくれたんですね。



拾ってくれたのが彼女で…本当に良かった。



「で、その猫どうしてるんですか?」



気になってた。
そしたら…。



「んっ。飼ってるよ♪」



彼女は元気に答えた。



飼ってるって言ってもエサあげてるだけだけどね(笑)


彼女は笑いかけた。



その時、僕の中にある事を思った。



彼女と一緒に黒猫を飼いたいなぁ…。



僕も一緒に猫にエサをあげたいなぁ。


あー。うーん。でも…。
彼女は何言うか…。



いろいろ悩んだけど、勇気を振り絞って言った。



「僕もその子猫一緒に飼ってもいいですか…?」



「えっ?」



彼女の一言にはっとして、嫌な気配を感じて…。



「い、嫌なら別に大丈夫ですから。僕みたいなのと一緒は嫌ですよね。すいません。もう言いません…。」


「そんなのOKだよ」



彼女は不思議そうに答えた。



あり得ない。これは夢?



「ほ、本当ですか。」



「うん。いいよ」



間違いじゃない。
やった♪



僕は心の底から嬉しかった。



「ありがとうございます。」



彼女は僕の顔を見たかと思うと、すぐに顔を伏せた。


えっ?どうしたの。



僕は心配になって、彼女に近づいた。



「ちょっと!落ち着くまで待って!!」



彼女は必死に顔を隠した。


その姿が可愛くて…。



ドキドキしてしまう。



何なんだろう?この気持ち…。



僕はまだこの気持ちがよく分からなかった。











< 92 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop