私しか知らない秘密のあなた
「まさか、由がこの猫を捨てたの?」
僕は否定した。
まさか、あり得ない。
むしろ、家に連れて帰ろうとしたよ。
でも、居なくなってて…。
あの時拾ってくれたんですね。
拾ってくれたのが彼女で…本当に良かった。
「で、その猫どうしてるんですか?」
気になってた。
そしたら…。
「んっ。飼ってるよ♪」
彼女は元気に答えた。
飼ってるって言ってもエサあげてるだけだけどね(笑)
彼女は笑いかけた。
その時、僕の中にある事を思った。
彼女と一緒に黒猫を飼いたいなぁ…。
僕も一緒に猫にエサをあげたいなぁ。
あー。うーん。でも…。
彼女は何言うか…。
いろいろ悩んだけど、勇気を振り絞って言った。
「僕もその子猫一緒に飼ってもいいですか…?」
「えっ?」
彼女の一言にはっとして、嫌な気配を感じて…。
「い、嫌なら別に大丈夫ですから。僕みたいなのと一緒は嫌ですよね。すいません。もう言いません…。」
「そんなのOKだよ」
彼女は不思議そうに答えた。
あり得ない。これは夢?
「ほ、本当ですか。」
「うん。いいよ」
間違いじゃない。
やった♪
僕は心の底から嬉しかった。
「ありがとうございます。」
彼女は僕の顔を見たかと思うと、すぐに顔を伏せた。
えっ?どうしたの。
僕は心配になって、彼女に近づいた。
「ちょっと!落ち着くまで待って!!」
彼女は必死に顔を隠した。
その姿が可愛くて…。
ドキドキしてしまう。
何なんだろう?この気持ち…。
僕はまだこの気持ちがよく分からなかった。