私しか知らない秘密のあなた
「僕を待ってた?何かありましたか?」
すると、彼女は何だか言いづらそうにして下を向いた。
何度も呼吸を調えて言おうとするけれど、中々言い出さない。
その様子をみて、さすがの僕でも異変に気付くよ。
「あ、あのね。実は…。昔の事なんだけど、」
「あ!あの家ですか!?」
僕はその言葉を遮る様に素早く言った。
そして、改めて自分の立場を見直すことになった。
僕は、彼女には合わない。
余りにも過去が酷すぎる。
彼女、思いだしたんだ。
「そ、そうだけど。…あの実は…。」
彼女は続ける。
もう止めてくれよ…。でも、でもまだ僕は君と離れたくない。
「ちょっと待って下さい。言いたい事は分かります。せめて、明日。少しだけ時間を下さい。」
僕は、今その続きを聞きたく無かったんだ。
『私。あなたの事思い出したの…。悪いけど、…もう無理かも知れない。さようなら。』
今、聞いたらヤバそうだから。
彼女の前で涙を見せたくなかったから。
「でわ、明日いつもの場所で」
僕は別れを告げて、来た道を歩いた。
「あー。明日で終わりか…。」
小さな声で呟いた。