私しか知らない秘密のあなた

僕があの場所に着いた時には、もう彼女は居た。



当たり前か…。



僕は彼女の所に急いで向かった。



「すいません。生徒会の仕事で…。」



怒ってると思った。しかし彼女は、落ち着いた声で、


「いいよ。大丈夫。その方が良かったし…。」



そう言うなり、彼女は黙ってしまった。



あぁ。僕はもう関係の無い人なんだ…。どうせ、今日でこの関係は無くなっちゃうんだから。
彼女はそれを言い出せずに居るんだ。



ごめん。
今楽にしてあげるから。



「で、話って何ですか?まぁ、大体は予想できますけど…。」



言いたくなかった。
自分から振る事は絶対したくなかった



でも、彼女が苦しむなら。辛いのなら。早く終わらせてあげよう。



さぁ。早く…『由の事やっぱり無理。あんたみたいな弱虫は嫌いなの』って言って…?



僕はもう君には近付かないから…。



「あ。ごめんね。今言うから…。」



彼女はそっと口を開いた。


「由てさぁ、私の事知ってるよね。」



ほら、やっぱり…。



その事だと思ったよ…。



僕は素直に答える。



彼女の事を守る事が出来なかった自分を…。



「うん…。でね、あの時の事謝りたくて。ごめんね。私の為に…。でも…」



はぁー。終わった。もう彼女との関係も…。僕の唯一の楽しみも…。



僕みたいなのと一緒にいてくれてありがとう。



そして僕は口を開く。



「でも…?何ですか?」











< 98 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop