窓に灯

 今まで断ってきたのは、何だったんだ。

 少し気を重くした俺は、何だったんだ。

「相手は? やっぱ女子大生?」

「そうみたい」

「いいな、女子大生。きっとあたしと違って清楚だよ」

 それから恵里は、男なんだから出来るだけ多く払いなさいとか、下ネタはダメだとか、色々アドバイスをくれた。

 彼氏に合コンの指導をするなんて、アリなんだろうか。

 完全に俺を信用しているのか。

 俺が全くモテないと思っているのか。

 あるいは、誰かに持って行かれても構わないと思っているのか……。

 俺はまた少し不安になった。

「心配じゃないの?」

 恵里は逞しく笑って言った。

「だって歩の帰る場所は、ここだもん」

 そんな恵里が好きだ。

「当たり前だろ」

 大好きだ。

 絶対に目移りなんてしない。


< 11 / 53 >

この作品をシェア

pagetop