窓に灯
恵里は変わらず俺のために美味い飯を作ってくれる。
朝は起こしてくれる。
大丈夫。
でもだからこそ、本当のことを知りたい。
飯を食い終わって、洗い物をしようとする恵里を呼び止めた。
「恵里、ちょっとここ座って」
「何よ、急に」
真顔の俺に訝しげな顔をしながら座り直した恵里は、つけまつげの目をバサバサ揺らして瞬きをした。
俺は一度深呼吸をして、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「恵里、最近帰りが遅いけど……そんな時間まで何やってんの?」
恵里の表情は変わらない。
「だから、仕事だってば」
「今日は? 3時で上がりだったんだろ?」
「うん、その後に別の打ち合わせしてた」
恵里の目が少しだけ泳いだのを見逃さない。
物心付いた頃からお前と一緒にいるんだ。
簡単に騙せると思うなよ。