窓に灯
「別の打ち合わせって?」
恵里は眉間にしわを寄せ、口を閉ざしてしまった。
そうなると、意地でも吐かせたくなる。
「俺に言えないこと?」
「……言いたくない仕事だってあるよ」
なんだよ、それ。
言いたくないって、何でだよ。
「じゃあ、もう一つ質問」
これが帰りが遅い理由に繋がるかどうかは確信がない。
だけど、一番知りたいのはここなんだ。
「何よ」
「俺が初合コンに行った日、誰と一緒にいた?」
この質問に対する返答で、俺たちの今後が決まる気がしている。
だから、恵里――……。
「え……?」
恵理はあからさまにヤバイという顔をした。
俺の頭から血の気が引く。
「俺、たまたま見たんだ。お前が……男と歩いてるとこ」
喋りながら、情けない笑いが出た。
自嘲の笑みだ。