窓に灯
高速を降りた頃にはすでに0時を回っていた。
「そこの信号、右」
「はいはい」
「すぐ見えるコンビニ……そう、そこそこ」
実家近くのコンビニに車を停めさせる。
「じゃ、ちょっと迎えに行ってくるから」
「あーはいはい。さっさと行ってこいよ」
「悪いな」
俺は車を飛び出した。
バス停そばのこのコンビニから歩いて3分ほど。
走ったから1分くらいだろうか。
静かな住宅街に俺と恵里の実家が変わらずそこにそびえていた。
この時間だ。
もう桐原家のインターホンを押すわけにもいくまい。
俺は自らの実家へ飛び込んだ。
「ただいまっ!」
「えっ? 歩? どうやって帰ってきたの」
母さんが驚いているが、今はそれどころではない。
階段をかけ上がり、自分の部屋へ。
窓の向かいが恵里の部屋だ。
シャッ
カーテンを開くと、恵里の部屋の窓に灯りが点いていた。