オサナナジミ


10時をまわったあたりから、人がぞろぞろ入ってきた


『お願いしまーす』


すれ違う人たちにチラシを配っていく


「忙しいねぇ」


『今度は反対?』


「そろそろチラシなくなっちゃうよー」


『取りに行かなきゃね』


「そだね」


アタシたちは人ごみを抜けて、やっと体育館に着いた


「未穂チャン!チラシもういいよ。もうすぐ開演だし」


時計を見るともうすぐ11時だ


「着替えてきて?」


『わかったー』


今度はメイク込みで


麻耶がやってくれたメイクで、本当に嫌な感じになった


絵本の継母って感じ


「未穂ーやっぱ似合わないねぇ」


『承知してますよー』


舞台袖から会場を見た


ほぼ満員だ


なんか嬉しくなる


-ブー


そんな音とともに幕が開いていく


アタシは最初から1人、鏡と喋る


空しいね
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