オサナナジミ

『ふぅー』


なんとか健人も間に合い、アタシは椅子に座って見ている


ドキドキもおさまってきた


「未穂大丈夫?落ちたなんて気づかなかったよ」


『麻耶?落ちた音がしても、まったく違和感がない場面だったから・・』


「そういえば、どこ行ってたの?」


『保健室。シップ貼ってた』


「1人で?」


『ううん。健人が連れてってくれた』


「そっか。最近2人仲いいよねー」


『埋め合わせ?悪いことしたなーって思うから・・』


「・・それはいいんだけど、変に期待とかさせるようなことはしないでね?裏切ることになっちゃうから」


裏切る?


『別に期待とかそういうんじゃないよ』


「未穂には山崎サンがいるもんね」


そうだよ


健人にドキドキするなんてアタシどうかしてる


緊張感だったんだよ


きっと


アタシは何度も何度も自分にそう言い聞かせた


お芝居が終わる頃には足の腫れもひき、歩けるようになった


「もう大丈夫?」


健人が心配そうに顔を覗き込む


『だっ大丈夫だよ。アタシ不死身だから』


不死身?


何言ってるんだろう?
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