恋せよ乙女
┣*一途に素直に
普通の生徒が、ましてや帰宅部であり委員会には無所属な生徒が登校するにはまだ少し早い時間、あたしは三階の廊下を猛ダッシュしていた。
もちろん、目的はただ一つ。
「おっはよーございまーす!」
勢いよくドアを押し開け元気よく挨拶すれば、案の定、いつもの無表情な氷室さんがいて。
「……朝から騒々しいよ。
ていうか、廊下は走らないでくれないかな。前にも言ったよね?そしてせめて、生徒会室のドアくらい静かに開けてよ。」
目を通していたのであろう書類を机の端に置き、氷室さんは見せつけるように小さなため息を零す。
「それに、毎朝毎朝、よく飽きないでここに来るよね。……何か楽しい?」
机に肘をつき、組んだ手の上に顎を乗せてあたしに問いかける氷室さんに、あたしはにっこりと微笑んだ。