恋せよ乙女
とりあえず、ワイシャツのボタンをはずし、スウェットの上を着るまでは手伝ってあげた。
それからあたしはさっきの買い物袋を片手に、勝手にキッチンに入る。
そして、これまた勝手に開けた冷蔵庫の中に、何も入ってないことに少し驚嘆した。
でも、よくよく見渡して思うに、このキッチンにはまるで生活感を感じられない。
―――だから、
「あの人…、普段どーいう食生活してるわけ…?」
なんて、思わず口に出してしまった。
まぁ恐らく、あまり自分で料理するわけではないんだろう。必要最低限な調理器具は揃ってるにしろ、そんなタイプではないことぐらい、今までのつきあいでわかる。
そんなことを考えながら小さくため息をつくと、かろうじて作られていた氷で氷枕を作って、あたしはキッチンをあとにした。