恋せよ乙女

「ついたよ。」


そしてあっという間に着いた目的地、指されたドアに掛けられた文字を見て、思わず氷室さんの顔に視線を移してしまった。


「…生徒会室、じゃないですか。」

「そうだけど、何。」

「いえ、別に。」


無表情かつ、しれっとそう返されると、さすがに何も言えなくなる。
だから、生徒会室に行くなら行くでそう言ってくれればいいのに、という言葉は、口に出さずに飲み込んだ。

そして、氷室さんに促され、生徒会室に足を踏み入れる。

氷室さんの机の上の書類が昨日の朝より減っていることから、副会長や山宮昴がそれなりに頑張ったのだろうと勝手に推測した。
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