恋せよ乙女
「……何笑ってるの。」
「いいえ、何でもありません。」
「変なの。たまに思うんだけど、紫音って結構理解不能だよね。」
「あれ?そうですか?」
結構本能のまま、素直に生きてるつもりなんだけど。
そんな風に思いつつ曖昧な微笑を返し、不意に壁の時計に視線を移した。そして、思いのほか過ぎていた時間に、そろそろ教室に向かおうかと腰を上げる。
「じゃあ、氷室さん。スッゴく名残惜しいんですけど、あたしそろそろ教室戻りますね。クラス違うくせに、隼人の奴が色々煩いんで。」
そう言いながら、今朝の隼人との会話を思いだしてウンザリする。
全く…、協力してくれるのは嬉しいけど、変に詮索しすぎなんだよ隼人は。