恋せよ乙女
だって、そうでしょ?
くっつき気味な身体から伝わる脈動は、明らかに普通じゃない。
どんなに強がったって、素っ気ないフリしてたって、結局は氷室さんも素直なんだよ。
未だその鋭い瞳を見上げ続けるあたしに根負けしたのか、氷室さんは諦めるように肩を竦め、小さく息を吐いた。
そして、
「……はぁ。もう何だか、本当にキミには敵わない。さっきも言ったけど、僕のペースが崩されすぎて困るんだけど。」
「あれ、それは褒め言葉として受け取っていいんですかね?」
「いや、褒めてないから。」
交わされる会話に、零れた笑み。
刹那、離れた身体の代わりに、氷室さんの真剣な瞳が私を射抜いた。