恋せよ乙女

照れを隠すように、小さく息を吐いた氷室さん。そして再び、彼はゆっくりと言葉を紡いだ。


「だから、なってたんだよ紫音。
僕の中でキミが、いつの間にかどうしようもないくらい、大きい存在に。
……こんなこと、何回も言わせないでよ。」


そう言った氷室さんは、若干不機嫌になりつつも、薄紅に頬を染めながら微笑を称えている。

あたしはといえば、何も言えなくなるくらい、彼の言葉がただ純粋に嬉しくて。


「……それより、いつまでそんなマヌケ顔してるの。キミが僕に聞いたんだろ。黙ってないで何とか言いなよ。」


氷室さんの掌があたしの頭を撫でた刹那、思わず涙が一筋、頬を伝った。
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