恋せよ乙女

「邪魔しないですから…」

「ん?」

「邪魔しないですから、ここにいさせてください。」


強く、強く、ただそれだけ。
ほんの短い間だけでもいい。
会話なんてなくてもいい。

ただ、この時間だけでもいいからそばにいたい。


「…キミって変わってるよね。
一途なんだか素直なんだか、むしろただのわがままなんだか、よくわからない。」


困ったような表情を浮かべ、そうつぶやいた氷室さん。さっき隅に置いた書類に手を伸ばしながら、再び口を開く。


「しかたないね。でもま、邪魔したりしたら、今度こそつまみ出すから。」


ゆっくりと上げられる口角を見て、次第に晴れていくあたしの気持ち。さっき傷ついたことなんて全く忘れ、顔中に嬉しさが溢れ出た。
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